
二子玉川で長年親しまれてきた「平田牧場 二子玉川店」が、2023年11月12日をもって閉店しました。
玉川高島屋S・Cの中でも人気の飲食店のひとつで、庄内豚を使ったとんかつやこだわりの料理を提供してきただけに、この閉店は地域のグルメファンにとって驚きと寂しさをもたらしています。
平田牧場といえば、山形県庄内地方で大切に育てられた「平田牧場三元豚」や「金華豚」を使った料理で知られています。
肉質が柔らかく、脂は甘みがありながらもすっきりとしていて、食べる人を魅了するブランド豚です。
二子玉川店でも、とんかつを中心に揚げ物やしゃぶしゃぶ、ランチセットなど多彩なメニューを展開し、家族連れや買い物帰りの人々に親しまれてきました。
特に週末には行列ができるほどの人気で、揚げたてのとんかつにかぶりつく瞬間は「二子玉川でのちょっとしたご褒美」として楽しみにしていた人も多いでしょう。
衣はサクッと軽やかで、噛むごとに広がる肉の旨味は、一般的なとんかつとは一線を画すものでした。
しかし、店頭の告知によれば、二子玉川での営業は終了し、今後は東京ミッドタウンなど都内の他店舗で引き続き平田牧場の味を楽しむことができます。
完全撤退ではなく、ブランド全体は引き続き首都圏で展開しているため、ファンにとっては少し安心できる知らせでもあります。
閉店の背景については公式な説明はないものの、二子玉川という街自体が常に変化を続けていることは確かです。
商業施設のリニューアルやテナントの入れ替えは日常茶飯事であり、次の新しい店舗がどのように街を彩るのか、期待と関心が集まります。
とはいえ、長年通い慣れたお店がなくなるのはやはり寂しいもの。
家族の記念日や友人との食事会、ちょっとした贅沢ランチに利用してきた人々にとっては、一つの思い出の場所が失われたような気持ちかもしれません。
「美味しいとんかつが食べたくなったら、二子玉川で平田牧場へ」。
そんな定番の選択肢がなくなった今、街の食シーンに小さな空白が生まれました。
しかし、これもまた二子玉川という街の「流動性」の一部。街は常に変わり続け、そこに住む人や訪れる人のライフスタイルに合わせて進化していきます。
閉店は惜しまれますが、これまで二子玉川で数々の思い出を紡いできた平田牧場に感謝を込めつつ、次の新しい風を待ちたいと思います。
そして、とんかつの香りと共に蘇るあの日の食卓の記憶は、これからも心に残り続けるでしょう。