二子玉川の小道に、赤い消火器の隣で“白い立て看板”がぴんと立つ。
「この周辺は入退場経路」「放置自転車は撤去」——黒と赤の文字が、ドン、と胸で先に鳴る一発目。
これが出たら、いよいよ花火の季節。
準備は静かに、しかし確実に始まっている。
だいたいここらへん

会場周辺は当日、入退場の導線になる。
駐輪・駐車はNG、放置された自転車やバイクは容赦なく撤去——看板は淡々と告げる。
裏を返せば、何万人の「わあ!」を安全に運ぶための仕込み
花火は技術と段取りの総合芸術。
見上げる数秒のために、地上では膨大な“準備の火花”が散っている。
想像してみてほしい。
夕暮れ、河川敷の芝の匂い。屋台の鉄板から立ちのぼる甘い煙。
遠くで試し打ちの音が響くたび、子どもの手が少し強く握り返してくる。
空気が一拍、止まる。そして、闇。
最初の一発が夜空をこじ開け、色が降る。
遅れて届く腹の底の低音。川面は鏡になり、街は巨大な拍手の生き物になる。
だから今日の看板は、単なる注意書きじゃない。
あれは“合図”。
街ぐるみのステージが上がるという宣言だ。
わたしたちは観客であり、同時に演者でもある。
ルールを守ること自体が、このショーへの参加方法になる。
当日の“スマート参加”メモ
- 会場周辺は入退場ルート。駐輪・駐車は避ける(撤去対象になることあり)
- 自転車・原付は放置NG。撤去された場合は返還手数料が発生
- 最新の交通規制・導線は公式情報で最終確認してから出発
ワクワクを最大化する、ささやかな準備
- 帰り道の合流ポイントを事前に決めておく(電話が繋がりづらい夜に効く)
- モバイルバッテリーとゴミ持ち帰り袋、薄手の上着
- レジャーシートはコンパクトサイズを。周りと譲り合えば夜空はもっと広くなる
今年も、空を信じて顔を上げよう。
打ち上がるたびに、昨日までの悩みが一瞬だけ無重力になる。
白い看板はもう立った。次はあなたの心の準備だ。